ようやく長く続いた暑い夏が終わりました。暑さ寒さも彼岸まで、とはよく言ったもので、本当に彼岸の日から涼しくなりましたね。9月21日は臨時休診にして、知らずに来院された患者さんには大変ご迷惑をおかけいたしました。一応2か月前から張り紙はしていたのですが、何人くらいの患者さんが来院されてしまったのか、こちらとしても気になるところです。
実はこの日、私は手術を受けておりました。病名は「内痔核」。あまり大っぴらにするような病気ではありませんが何年前からあったのか、無症状の時も含めれば10年くらい前からあったのでしょう。初めて肛門科を受診したのが3年前で、段々出っ張りが大きく頻繁になってきたので、先生の勧めもあり手術をしてもらいました。先生の名前は秘密です。胃の調子が悪い、足が痛いなどというのであれば、近くの中川先生や浦和先生に診て頂くのですが、さすがにおしりの問題となると知り合いの先生では恥ずかしく、一生頭が上がらなくなりそうでしたので、インターネットで調べちょっと遠くの肛門科を受診しました。
医者が病気で病院へ行く時の気持ちは妙なもので、一つは患者として何をされるのかという不安を抱くと同時に、もう一つは医療関係者として、ここの病院はどんな感じか、私の医院とはどう違うかな、という第三者的な冷めた目で観察する自分がいます。
その某肛門科は某駅のすぐそばのビルの3階にありますが、あまり目立ちません。扉は木製で手前に引くようになっており外からは何も見えません。私の医院は中が丸見えで、眼のいい人なら駅からでも見えてしまいますから、なんとも対照的です。医院の内装は茶色を基調とした落ち着いた雰囲気で、床にはカーペットが敷いてあります。椅子はふかふかで、ところどころマットも置いてあります。お尻への配慮ですね。受付の女性の話声もトーンを下げ静かに話しています。周囲への配慮ですね。子供はいませんので、大変静かです。評判が良いようで、老若男女、次々患者さんがやって来ます。10数人が椅子に座って待っていたこともありますが、ほとんどみんなが「痔主」なんだと思うと、ちょっとおかしくなりました。
先生はやはりそれなりの雰囲気がある男性ですが、あまり私の顔は見ません。忙しいせいなのか、パソコンをいじるせいなのか、やはり患部が患部だけにあまり顔は見ないようになったのかは分かりません。私は耳鼻咽喉科ですので、自然に顔を見つめることが多くなります。私は3つの穴が対象ですが、この先生は1つの穴だけで、これで1日中勝負するのかと変な感心をしました。
普通の診察は横向きで行われましたが、手術の時はお腹に枕を当て、お尻を出っ張らした感じの腹ばいでした。点滴を取りサイレースいう鎮静剤を打ち、局所麻酔薬で仙骨硬膜外ブロックを施してから手術が開始されました。切ったわけではなく、薬液を20ml、12か所に注入したそうで大して辛くもなく終わりました。終了後に紅茶とケーキが出されたのには感激でしたが、私の医院でそうすることはまずないでしょう。また、手術後に現場写真を、いつ撮ったのかわかりませんが、見せてもらいました。もっこりと山のように飛び出している内痔核は、私が毎日患者さんにお見せしている鼓膜写真とは段違いの、衝撃映像でした。今週再来時には、あの画像をプリントアウトして頂こうと思っています。
翌日は恐る恐る遠慮がちにウンコを出しましたが、痔核の脱出もなくなり不思議な感じでした。日に日に痛みも薄らぎ、明日からは穴あきの円座もいらなくなりそうです。先生から酒は控えめに、トイレタイムは5分以内に、と言われています。酒を控えるのはそれほどの事ではありませんが、トイレ5分以内というのが大変です。我が家のトイレは自慢ですが、1階はテレビ付きで、2階は収納式のテーブルがセットされており、いつまででも読書することが可能なスペースです。今後はこれらからの脱出が大きな課題であります。
2010年09月26日 00:00