2019年10月31日(木) その昔、番町→麹町→日比谷→東大
10月4日金曜日、午前中を休診にして、四谷の都市センターホールで開催された日本鼻科学会を覗いてきた。守備範囲が限定されているように思える耳鼻咽喉科だが、その他にも耳やノドやめまい、アレルギー、感染症などいろいろな学会があり、さらにその上には日本耳鼻咽喉科学会総会というのも控えている。
私が初めて学会発表をしたのは1979年の秋、耳鼻科医になって半年後の仙台で行なわれたこの学会だった。演題名は「鼻閉感と鼻腔通気度との関連」。なにやら雲をつかむような演題であった。だいたい学会発表の初舞台は症例報告が多い。斯く斯く然々の珍しい症例を経験した、といって終了となるのが一般的で、その後の質疑応答で発表者がシドロモドロになると、共同演者の先輩が代わりにマイクを握り返答してくれて丸く収まる、という筋書きである。
私の場合は鼻の通り具合を数十人測定して、鼻が詰まるという自覚的な感覚とどう関連があるのか、といったような内容だったが、そんなこと新米耳鼻科医にわかるわけもなく、発表原稿は教授に見せるたびに手直しされ、しまいには自分の言葉はほとんどなくなってしまったという記憶が残っている。ただ、その発表は単なる序章に過ぎず、5年後には千人測れという、気が遠くなるような命題が与えられたのであった。まあ、今では懐かしい思い出ではあるが・・・。
それにしても昔に比べ演題数が飛躍的に多くなったようで、朝は8時から発表が始まる。昼休みにも、ランチオンセミナーと称して、軽食を膝の上に置きながら講演が進められている。ポスター演題といって壁に発表原稿を貼り付けて、それを見ながら議論するというこれも昔はなかった形式だ。耳鼻科医になって5年が経つと専門医試験が待っている。その間学会発表も規定回数をこなさなくてはいけないらしい。いろいろ大変な時代だ。
学会に出席すると、何かしら、ふ~んとか、へえ~という新発見に出くわすモノであるが、午後の診療に間に合うように、ランチオンセミナーを途中で抜け出し最寄りの永田町駅へ急ぐと、左手に千代田区立麹町中学校を見つけた。
ああっ!これがあの麹町中学校かと、感心した。とても区立の中学校には見えなかった。 私は開業以来鎌ケ谷中学校の校医をやっている。それなりに愛着もあるが、相当年期が入った校舎である。私が校医をやっている間には改築は無理かなと思うが、ついつい見比べてしまった次第である。